
2026-08-08
パンを食べたあとの、テーブルの上の小さなクズ。 キッチンに飛んだ、ほんの少しの油。 空になっているのに、なぜか棚に戻されている洗剤。
気づいた人が、さっと片づければ数秒で終わる。
でも、シェアハウスでは、その「気づいた人」がなかなか現れないことがあります。
さて、掃除当番は、本当に必要なのでしょうか。 Come on UPでは、東京と関西のコミュニティマネージャーが月に一度集まって、勉強会をしています。 イベントのつくり方や入居者募集のこと、ハウスで起きたちょっとした事件まで。 それぞれの家で起きていることを持ち寄って、
「そっちはどうしてる?」
と話してみる時間です。
5月のテーマは、掃除。 地味だけど、シェアハウスについて考えるなら、避けては通れない話です。
あるハウスでは、月に一度のハウスミーティングで掃除担当を決めています。
今月はキッチン。 来月はお風呂。 出張がある人は、別の週と交代。 担当表は冷蔵庫に貼っておく。
わりと学校っぽいけれど、「誰が何をするのか」が見えるので、新しく入った人も迷いません。 一方で、細かく担当を決めず、
「使った人がきれいにする」 「気づいた人が少しだけ片づける」
という形になっているハウスもあります。
住人同士の関係や生活リズムによっては、大きなルールをつくらずに過ごしている家もありますが、誰がどこまでやるのかが曖昧なままだと、気づく人や掃除が得意な人に負担が偏ってしまうこともあります。 そして、こんなハウスもあります。
「掃除当番を決められるのがストレスです」
住人たちは仲がよく、自分たちなりの方法で暮らしているから、細かいルールはいらないという。
たしかに、みんなは満足している。 ただ、コミュニティマネージャーが久しぶりに訪れると、キッチンはまあまあ汚れている。 掃除をする側としては、ちょっと大変。 でも、住んでいる人たちは楽しそう。
これは、きれいなのか。 汚いのか。 というより、誰にとっての「ちょうどいい」なのか。
どうやら、そこから考えた方がよさそうです。
現在、Come on UPには、すべてのハウスに共通する一つの掃除ルールがあるわけではありません。
住んでいる人数や生活リズム、建物のつくり、住人同士の関係も、ハウスごとに違います。 そのため、それぞれの家に合った方法を、住人とコミュニティマネージャーが相談しながら決めています。
例えば、月に一度のハウスミーティングで、その月の掃除担当を決めているハウスがあります。 キッチン、浴室、トイレ、リビングなどの担当を分け、決まった内容を掃除ルール表にまとめて、グループチャットで共有します。
ゴミ出しは一週間ごとの交代制。 テラスは月に一度。 冷蔵庫は二か月に一度。
というように、場所によって掃除する頻度を変えているハウスもあります。 旅行や出張で担当できない人がいる場合は、ほかの住人と週を交代します。 一方で、細かく担当を決めず、
「使った人がきれいにする」 「気づいた人が少しだけ片づける」
という形になっているハウスもあります。 ただ、こうした方法では、掃除する人がいつも同じになったり、気づかないうちに汚れがたまったりすることもあります。
そのためCome on UPでは、住人の自主性を大切にしつつも、誰か一人に負担が偏らないよう、それぞれのハウスで無理のない掃除ルールや役割を決めておくことが大切だと考えています。 住人が入れ替わったり、生活のリズムが変わったりすれば、これまでうまくいっていた方法が合わなくなることもあります。 だからCome on UPでは、最初に決めたルールをずっと守り続けることよりも、
「今のメンバーには、このやり方が合っているか」
を、ときどき話し合うことを大切にしています。 掃除ルール表をつくることも、当番を決めることも、それ自体が目的ではありません。 誰か一人に負担が偏らず、みんなが気持ちよく暮らせる方法を、その家ごとに探していく。 今のCome on UPでは、そんなふうに掃除のルールをつくっています。
もちろん、何でも自由でいいわけではありません。
生ゴミが放置されている。 カビが広がっている。 次の入居者を案内できない。
そこまでいけば、運営側が動く必要があります。
でも、テーブルの上にゲーム機が出ているとか、棚に私物が少し置かれているとか。 その程度の生活感まで、全部なくす必要はあるのでしょうか。
家は、モデルルームではありません。
誰かがコーヒーを飲み、誰かがソファで寝落ちし、誰かの読みかけの本が置かれている。 少しくらい雑然としている方が、その家らしいこともあります。 大切なのは、写真映えすることより、そこに住む人が帰ってきたいと思えること。 ただし、次に入ってくる人が驚かない程度には。
このあたりの線引きが、シェアハウス運営の難しいところです。
今回の勉強会で、印象に残った言葉があります。
コミュニティマネージャーも、頑張りすぎない。
掃除をして、備品を補充して、住人に声をかける。 そこまでは仕事としてできます。 でも、
「自分はこんなに掃除したんだから、みんなもやってほしい」
と思い始めると、だんだん苦しくなります。
一度、お願いしてみる。 やってくれたら、ありがとうと言う。 忘れていたら、会ったときに軽く声をかける。 それでも変わらなければ、必要なところだけこちらでフォローする。
近づきすぎず、離れすぎず。 掃除の話に見えて、実は人との距離感の話でもあるのです。
住人の自主性について考える前に、もっと簡単な問題が隠れていることもあります。
掃除機のコードが伸びない。 洗剤が空っぽ。 雑巾がどこにあるか分からない。 掃除道具を取りに、わざわざ別の階まで行かないといけない。
それでは、掃除をする気もなくなります。
「ちゃんと掃除してください」と言う前に、ちゃんと掃除できる環境になっているか。
キッチンに布巾とスプレーを置く。 洗面台の近くにスポンジを置く。 壊れかけた掃除機を買い替える。
案外、立派なルールよりも、すぐ手の届くところにあるウェットティッシュの方が役に立つのかもしれません。
今回の勉強会で、全ハウス共通の正解は出ませんでした。
細かく当番を決めた方がうまくいく家もある。 最低限の役割だけ決めた方が暮らしやすい家もある。 住人同士で相談しながら、少しずつルールを変えていく家もある。
住人が変われば、ちょうどいい方法も変わります。 だから、最初につくったルールを守り続けるより、
「最近、このやり方どう?」
と、ときどき話すことの方が大切なのかもしれません。 きれいな場所は、自然ときれいに使いたくなる。 誰かが軽く拭く姿を見て、次の人も少し片づける。 最初はルールや当番から始まったとしても、少しずつ掃除が「やらされるもの」ではなく、その家の小さな文化になっていく。 そんな状態が、きっと理想です。
まあ、そこまでうまくいかない日もありますが。 まずは今日、空になった洗剤を補充するところから始めます。
あなたがシェアハウスで暮らすなら、
掃除当番はきっちり決めたい? それとも、最低限のルールだけ決めたい?
Come on UPの月イチ勉強会ノート。 次回も、シェアハウスの「正解のない話」を考えます。
多様性を楽しみ、ゆったり暮らす。
シェアハウスならカモンアップ
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